1
焼き肉に連れていかれて泣いている場合じゃないしミノは焦げるし
2
つらかったはずなのにいま白米にのったカルビと真剣勝負
3
虹の橋を渡りたいと泣いた夜に大きな傘を差し出したきみ
4
虹の橋みんないつかは渡るからひとりぼっちになんてなれない
5
死にたさをひっさげ生きる金曜日 高いヒールで地を打ち鳴らす
6
あのねって言いよどむときまばたきが雄弁になることに気づいて
7
輝きを強制された街路樹がしっとり人を憎みだす季節とき
8
冷蔵庫と洗濯機とを間違えるそんな自分が嫌いではない
9
花はただ言葉より先にそよいでたそこに説明責任なんてなかった
10
言葉という鎖からいま放たれて冬を齧るも叫ぶもおんな