短歌 羞らい

1
はじらいは心の溝に生える苔どうか触れずに育ててほしい

2
走れ、いまこの瞬間の羞らいはいつかの実り 心のままに

3
羞らいを忘れた人が集まると偏差値がどうとか言い出して

4
満員の電車に宿る数百の命と同じ数の羞らい

5
コーヒーの水面みなもに浮かぶ三日月をずるりと壊すきみ羞を知れ

6
羞らいに味があるなら甘苦い 口に含んだら吐き出せない

7
幻想は羞らいをもち立ち上がる信じる信じないは自由だ

8
背を向けた人たちの顔にモザイクをかけると羞しい人みたい

9
ほんとうのきもちを口にするだけで震えてしまう内臓たちよ

10
水鳥の撃たれた夜にシーツごと闇に溶けたいもう羞しい