今日の短歌 白鷺

1
許されていたと気づいてあの頃の自分にかける「大丈夫だよ」

2
嫌なことばかり目につく金曜は好きなケーキを買うべきである

3
「死にたい」と「死ぬ」の間に横たわる遥かな川を白鷺が征く

4
道端に落ちたザクロを踏んづけた小鳥のためと言い聞かせてた

5
その辺でのらりくらりと暮らしたい背伸びしたって百年後は風

6
自画像がいつも笑顔と指摘され空の青まで疎ましかった 

7
その花は何を奪って咲いている見て見ぬふりが上手くなれない

8
三分後三分進んでいることに気づいたけれど気にしなかった

9
秒針のほのぼの進む日曜日ずれているのもなんか嬉しい

10
眠れない夜にぴたりと押し付けて鼓膜に沁みる時計の体温