短歌 コロッケ

1
駅前の立ち食いそばが逃げ場所の頃はコロッケまでいけなかった

2
病院に閉じ込められる寸前の景色もちゃんと綺麗でしたよ

3
無理がある何も知らない人たちがわけ知り顔でカルテをめくる

4
「もういいよ」かくれんぼだと思ってたなのにひどいよ それが動機だ

5
日陰には日陰を好む花が咲くランチはジャンクフードで済ます

6
あずき色だと信じて買ったyogiboのタグには「ディープパープル」とあり

7
ポジティブを礼賛してもしんどいな星は日暮れの後にこそ降る

8
予言から四半世紀が経ちましたアンゴルモアはまだ来ませんか

9
「人による」「人それぞれ」で捨てられた対話をしたい蛇を片手に

10
雑踏で「今は何年ですか?」と訊かれきみは真顔で紀元を告げた