短歌 氷を噛む

1
カルテにもオチをつけたい ねえ先生、わたしが人に見えていますか

2
「この糸を赤く染めたら結ばれる?」知らんわAIにでもきいとけ

3
春が来る怖さのあまり価値観の土台を壊す重機を探す

4
詩歌など要らない人生もあるらしい奥歯で氷を噛むと沁みるな

5
頑張った事実より合否だけを見る大人のことはもう気にするな

6
マカロンは噛まずに潰す不文律くちびるにだけ力を込める

7
傷ついたかどうか確認したいけど今日に限って月と目が合う

8
恋と呼ぶにはあまりにも必死だなw って言われかねないありさまでした

9
それはそれこれはこれって先延ばしその成れの果てとしてのわたし

10
枠線をはみ出した者だけが識る世界の果てに遊ぶ無意味さ