名前を呼ばれても
挨拶のない夜明けに 一途な愛の現在位置を確認した 己の愚かさがよく溶けた アイスソイラテが美味しい午後 しあわせ、と口にすれば ひたいの玉の汗が笑いだす 暑いですねぇ ひところはコートも着ていたのに まだ憂鬱は膝を抱えて…
挨拶のない夜明けに 一途な愛の現在位置を確認した 己の愚かさがよく溶けた アイスソイラテが美味しい午後 しあわせ、と口にすれば ひたいの玉の汗が笑いだす 暑いですねぇ ひところはコートも着ていたのに まだ憂鬱は膝を抱えて…
加速度を上げたレッテルが 水槽の中ではち切れるとき 金魚どもの骨々は報われる 空——まだ数えるには足りない幻滅と 明滅するスマートフォンの広告たちが ゆらゆら行く手を阻むためだけに在り 私の残滓の根本になってしまうとして…
私はあなたに もう正論しかぶつけられないのだ 二度と過あやまつことさえもできないと 歌を歌っても 愛してるよりさよならの数の方が 多いことに気づいてはならなかった (後悔するために ……継続される呼吸) 正論としておめか…
1 予報にはなかった雨に濡れそぼり帰る家にはきみという謎 2 今どきはわかりやすさがウケるけどきみという謎だけは解けない 3 正答のないなぞなぞを解いている気がするきみのとなりにいると 4 カーディガン脱ぐとききみが目を…
1 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 2 不器用はもはや伝統芸能かいっそ人間国宝になれ 3 一人称複数形ではや十年なんだかんだで今日も笑顔で 4 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた …
1 「うん、いいよ」そこで途切れたやりとりのとなりで揺れる曼珠沙華たち 2 若かったそれよりずっと馬鹿だった落暉を何度見逃したろう 3 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 4 「スプーンじゃないほう取って」…
1 耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく 2 蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ 3 ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き 4 ただいまを二度と言えないあの家を遠く離…
1 私たち不器用だねと笑いあう月曜日って実は尊い 2 「うそつきは消えて」あなたの笑顔ごと沈めてしまうレモンスライス 3 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 4 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひと…
1 解のない問題文を与えられ((大丈夫))って繰り返してる 2 ようこそ に愛を感じる画面には淋しがり屋の顔が映ってる 3 今日未明檸檬爆弾未爆発無事故月曜超絶憂鬱 4 寂しさも自分の一部わかってる手紙を書くよ青いインク…
1 (猫がいる)すれ違う人それぞれに悩みがあって秋へと向かう 2 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 3 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 4 わがままも貫いたなら道になるそこに…