誕生日

倦怠期をケンタッキーと間違えて今日も我が家は平和なのです おめでとうが今更照れて言えなくて口を尖らせつぶやく「老けた?」 あなたからもらったピアスをしています 早く髪に触れそれに気づいて サプライズが…

ヒストリー

好きな色も知らない人にプレゼント 有馬記念より緊張する 本当にいいんですねと念押され急にためらう愛の告白 流行らないタバコなんかでごまかして微笑めるのは今のうちです 心にはしっかり棲みついているのに歩…

不思議

突然に私の頬に雨が降る 過日に捨てた夢の破片だ セイハロー、天国に向けセイハロー、そろそろ着いた頃だと思う 優しさはこころの果実と心得て熟れたらそっと左手でもぐ 北風に怯えた日々もあったけどジャズのリ…

ココア

窓際で眠るあなたに降り注ぐ柔い西陽に僕はなりたい 思い出がこれ以上美化されぬよう右のこめかみを強く押した 美しい季節になれと微笑んで秋を屠った君は変態 私よりゲームに夢中な君のこと攻略をするゲームに夢…

卒業

へたくそな口笛だって構わない 今はひたすら声がききたい 桜色の袴が似合う人でした ほんとに淡く散ってしまった 嫌いとは愛の同義語 三月の空になびかぬ切りすぎた髪 アイシャドウなんてつけない 嘘のない瞳…

アドレッセンス

頭からトマトスープに突っ込んで溶けたあなたの味が好みよ あやとりの得意な人は手をあげて そこに神経を通しますね 危険だと早く逃げてと叫ぶ君のシルエットがもう笑ってる なにもかも芽吹き始めたせいにして思…

やわはだ

さよならを置き去りにした二人して永遠求めツツジを啜る 幼な子の黒目に問うてみるがいい ちゃんねるを見る背中はどうか やわ肌についた傷ごとよろしくね あなたの爪が弾く思い出 省みることのできない阿呆烏 …

偉い人なんていないよ 偉そうな人なら街に溢れてるけど 黒猫で親指ぎゅっと隠したらぽつぽつ漏れる死にたい理由 終電を逃した猫の迷い子は夜が明けるまで罪を匿う シグナルが点灯しても気づかずに踊り続ける人の…

初夏

ドローンは孤独を壊すためにあるという説だがやはりオバケか ヒーローになれる方法があるなら三回払いで買わせてくれ 君だけがわかってくれたほろ苦さ 焦げたキャラメル食んで微笑む 水たまり飛び越え進む初夏の…

天使

きみ、天使に間違えられることはない? 僕の視力が落ちたのかしら いくら手を伸ばしたとしても届かない君ならいっそ君ならいっそ 人びとの関心を集めた途端 立ち枯れていく淡いまぼろし あれこれは全部むかしの…