ルルのしっぽ

誰のための眼球か! 考えたこともないくせに 目に映る全てを憎むと 焦燥の中で言い放った君よ アキアカネは憐れむ 眼球のことを心から かわいそうな奴だと そして 君のことを本気で 無知蒙昧な存在だと 優しくなれないのなら …

アザミ

笑顔を売るのが得意な道化にきいた 幸せですか だとしたら それは正しいことですか 凛と咲くアザミの白々しさに 息を飲んだ少女の熟した胸元に ゆでたまご研究家が虫めがねを近づける お嬢さん お嬢さん 破瓜を望むお日様の願い…

パンダの哲学

夕暮れの架線 連なる列車の陰に隠れて パンダが寝っ転がっていた 春風にひらひらと 落ちる梅の花びら見ながら アスファルトの上にごろんと これはもしかして非日常ってやつですか? 口当たりはやや偏屈だが 思ったよりドラマチッ…

万が一

万が一、どこかの偉い人が、 「明日は、月曜日です」なんて言ったら! 君は襟を正して出勤できますか? 万が一、どこかの偉い人が 「明日は、9月1日です」なんて言ったら! 君は宿題を片付けられますか? 万が一なんてことは、 …

りるりる

りるりる エイプリルは嘘つきの 夜明けに奏でるドルセラ弾き 甘味はどうしたの もっと求めなさいよ 火星が燃える…! りるりる そんな響きと迂遠した湾岸通りに 夕暮れ夢見る死神ごっこ エイプリル君は 明日何人に愛でられるの…

私が女の子だったころ

私が女の子だったころ 私にはなんでも空想できて その代りなぁんにも無かったのよ、と彼女は笑った。 彼女に言わせればこの世には 逆回りする懐中時計を 首からぶら下げてブランコを漕ぐウサギがいて いつも寂しい、寂しいとぼやい…

あの海

目の前で息絶えた夏を あの海まで連れてった あの日君と見た あの海まで連れてった オレンジ色の車に乗って あの曲を聴きながら 一緒に途方に暮れた あの海は今、 夕凪に誘われて 思考停止中です 空蝉に身を焦がして 猜疑心を…

金魚

例えば真白な紙を渡されて 「お好きに描きなさい」 などと言われたら私の右手は萎縮する また譜面を渡されて 「思うままに奏でなさい」 などと言われたら私の両手は萎縮する 泣くほどのことじゃないから そこで流す涙など欺瞞の塊…

夏の終わりとマリー

夏の終わりと君のエコーが 重なったときに蝉は逝く 猫はいそいそ秋支度 落ち葉の衣を探してる 澄まし顔した少女が 君のくしゃみに驚いた マリー、僕は無条件に悲しくなる 嘘をついたね また一つ 嘘をついたね とびきり優しく …

ミックスジュース

ミックスジュースを飲んでみる 悲しくなってグラス割る 1+1を間違える 悲しくなって酒を飲む モモイロペリカン旅に出る 悲しくなって 名前呼ぶ おお そこの君! 忘れものだよ ゴムボール 夜が来てまた朝が来て 期待の次に…