リサイクル

あなたが教祖に転職したら 私が信者になってあげるね そんな冗談をケラケラ放ち 僕を慰めてくれたお母さん 何も信じられないから 信じられるものを自ら こしらえたいと願った たったそれだけの為に 舌を売り飛ばしました そうで…

優しい窓辺に風鈴がひとつ

私は優しい世界しか知らない 仕舞い忘れられた秋口の風鈴みたいに 必要ないと笑われたものばかり両腕に 大切に抱えて暮らしています 夕焼けってあれさぁ 空は火傷してないの だってすごい赤だよ 空は痛くないのかな そんなことを…

雨の日、クッキーを焼く私と、

台風が近づいている日曜日。 私は気まぐれでクッキーを焼くことにした。 あなたはソファに身を沈めて、幻影と遊んでいる。いつものことだ。 焼きあがったクッキーを見て「ビスケット、おいしそう」と言うので、「クッキーだよ」と訂正…

短歌 花火

1 新しいファミマが街に増えるたび居場所をひとつなくすのは誰 2 容疑者と呼ばれた夏も青空で入道雲が威張っていたな 3 斎場の灯りがついた夜にだけ許しあうこと許してほしい 4 ビブラートできない鳥は殺してもいいんだよって…

短歌 仮説

1 間の抜けた顔で剥き出しの惰性をかじる君のまつげに浮く汗 2 「星座って孤独を繋げてできてるの」君の仮説を葬り去ろう 3 舌の根も乾かぬうちに発車ベルが聞こえたから旅に出ましょう 4 シャボン玉は壊れるためにあるという…

ふたりの「きず」な

似たような場所に傷を持つ私たちは、「絆」という言葉をあまり好まない。響きが「きず」を想起させるから、という理由だけではなく、それが往々にして人を縛り、抑圧するものだとよく知っているからだ。 私がヒステリックになって自分を…

メイクの効能とすっぴんの私

昨日の夜のこと。通勤で使っている路線が夕方に発生した人身事故の影響でダイヤ乱れを起こしていて、いつものように特急列車には座って乗れなさそうだったので、ここはひとつ新宿から各駅停車でどんぶらこも悪くないと思い直し、やっとこ…

【断片】 <思いつき>

誰にとっても了解可能な言葉に呪詛は宿らない だからあなたの唇はいつも乾いていたのかしら /いくら舌舐めずりしたところで 満たされることなどなかったね/ だから私は(as 虚しい抵抗)「これ」を並べる ランパトカナル ラン…

ああ、そっか、それだ!

1.「考えるな、感じろ」 日々の暮らしの中で、あぁ幸せだなーと感じる「瞬間」って、いろいろありますよね。例えば、偶然入った喫茶店で頼んだベリーのトライフルがとても美味しかったとか、いつも通勤で足早に通り過ぎるだけの駅前の…

私の気分を上げるコトモノは優しい壊れかたをする

とある休日に東京の西の西の隅っこの村にある隠れ家イタリアンに突撃。ここのブルスケッタより美味しいブルスケッタはきっと都心にもないと思うの。 会議のため私の職場へひょっこりやってきた夫が「昔誰かがどこかのお土産で買ってきた…