春変
寝ぼけた顔して 幼い唇でぽろぽろと 退廃的なことを言うの 春だというのに 心臓くり抜くような 我儘ばかり振り撒くの きみは冬に眠っていたかったんだろうね 魚のような目をして 灰色の空を見ている 饐えた風の手土産を 嬉しそ…
寝ぼけた顔して 幼い唇でぽろぽろと 退廃的なことを言うの 春だというのに 心臓くり抜くような 我儘ばかり振り撒くの きみは冬に眠っていたかったんだろうね 魚のような目をして 灰色の空を見ている 饐えた風の手土産を 嬉しそ…
1 白シャツでカレーうどんを食べるひとだから私は惹かれたのです 2 真夜中にきみの寝言で目覚めても首を絞めたりはしないからね 3 おやすみは優しい響き また明日目を覚ましてもいいなと思う 4 あなたにはわかるはずない痛み…
1 風を呼ぶさかさまつげにマスカラを塗ったとたんにほころんだ春 2 苦しいと瞬きをする癖があり診断したがる人種がいる 3 大丈夫大丈夫って口癖は大丈夫じゃないときに出てくる 4 雨上がり間違いなんてなかったとスタッカート…
1 ト音記号へし折ってから五線譜に愛を書き足したの誰ですか 2 ドップラー効果でしょうかついさっききみの口からしねときこえた 3 大嫌い 言った直後に口の中がひどく酸っぱくなるほど大好き 4 後遺症←自己責任原則転嫁〈義…
論客R氏が腕試しに 青い瓶の中身を知りたがり 詩人D氏が立腹して それは野暮だと吐き捨てる 主宰W氏は円卓にて ほくそ笑みながら足を組む R氏が求めるのは日常からの脱出方法 D氏が詠うのは牛肉へ捧ぐ鎮魂歌 W氏はぺろりと…
シナプスの存在しない場所に 私はいる 私がいる あられもない姿で (キャラメルを舐めながら) 横たわっている 銀紙をくしゃくしゃに 気の済むまで丸め終わった残骸が 私の心臓だったとして キャラメルを舐め終えた 甘ったるい…
1 大切なことは二度言う隠したいことは何度も言って誤魔化す 2 に、ん、げ、ん、は悲しい響き我慢して逃げないって言ってるみたい 3 獣から人に戻るときにまとうその切れ端でいいからなりたい 4 食べ物と暮らしています ぴー…
1 夢をみる夢からさめて夢のなか わたしは火星探査のとちゅう 2 標識に〈人に注意〉の表示あり 確かに気をつけなければならない 3 体温を測るたんびに季節とはうつろいゆくとデジタル表示 4 神さまが来ない…
1 ハモニカが上手に吹けたそれだけであのころ呼吸も上手だった 2 さかあがりはじめてできた帰り道 お母さんの赤いマニキュアきらり 3 制服のポケットに隠したカッターを出せないままでもう三学期 4 夢 希望 みんな仲良く …
息災をインクが告げる年賀状 老いた手で春待つ母の筑前煮 平等か良い子悪い子お年玉 初雪と消える初恋あわい窓 見上げれば祖母の微笑む冬銀河