短歌 辞書
1 「雨が降る」と引くと「苦悩する」ことと同じと載ってる辞書がほしい 2 宇宙とはただの奇跡で偶然でそのくせ等しく必然らしい 3 真っ白なパレットに広げた白色の絵具の行方を知りたくて切る 4 なんだってわかるのスマホさえ…
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1 「雨が降る」と引くと「苦悩する」ことと同じと載ってる辞書がほしい 2 宇宙とはただの奇跡で偶然でそのくせ等しく必然らしい 3 真っ白なパレットに広げた白色の絵具の行方を知りたくて切る 4 なんだってわかるのスマホさえ…
1 四月馬鹿五月凡才六月に本気出すからそこで待ってろ 2 天井の蛍光灯の明滅を数えて過ぎる青春もある 3 「ピカピカの一年生」がなぜマイナーコードなのかがさっきわかった 4 友達を百人作れというのならあなたが先に手本を見…
どの辞書にも載らない過分に素敵な翻訳教室、三月分の生徒の皆さんの努力の結晶の発表です。どうぞ拍手を! 「I love you」 ・あなたを愛しています。 ・月が綺麗ですね。 ・月は綺麗ですね。 ・月が綺麗ですね、それより…
剥き出しの記憶を眼窩からぶら下げ 気の済むまでぷらぷらさせたならば それが涙になるまで待ってひたすら ごめんなさいをリフレインしようか たくさんの手で解剖された認識が 優しい母の手で丁寧に調理されて 食卓へとスープとして…
桜の花びら舞う下で「おめでとう」と言われて以来、私は常に桜の散ったあとのことを考えているのです。ちっとも似合わなかった制服をやっと捨てられる、とつぶやいたら少しだけ寂しそうな顔をしたアンパン。それが好きだからそう呼ばれて…
1 目的地まであと三歩届かずに三歩ごまかし過ごす生きかた 2 マジシャンの本気の恋は種明かしできないゆえにひどく不評だ 3 夜が天から階段を降りてきて夕焼け抱いたのが動機です 4 行先のわからないバスを降りられずふたりぼ…
1 許可もなく生きてたカエル 許可を取り理科の時間に解剖をする 2 優・良・可じゃなく不可の奥にあるほんとのことを書いてください 3 物故者の欄に確かに載っている私の名前が10ptで 4 涙まで織り込み済みの「おめでとう…
林立の夢を刈り取った手で 優しく微笑むのはやめてよ 背の順が嫌いだったことや 前へ倣えを疑ったことまで よくできましたと言われて あなたは何を私に望んだの 最終バスが去った後で 喪服の女が口笛を吹く 馬鹿だなと笑うあなた…
少し黄ばんだ表面に 容赦なく叩きつける 春の雨は優しくあり 群れ骨群れ骨群れ骨群れ骨 矮小な讃の残渣と赤血球が 反乱を起こした辛辣な春が 今年もやってきたのですね 群れ骨を掬う者も救う者も 其れに巣食うものもおらず 痛み…
1 書くことを探して結局「これからもよろしくね」って嘘を残した 2 黒板の右下に名が載るたびに笑われたからもう笑おうか 3 教室の窓ガラス一枚ですら割れずに過ぎる正しい青春 4 嘘をつき立ち回りよく空気読む 全部教室で学…