ひなぎく
白煙のかもめ 何が悲しくて 闇夜の黒ねこ 何が悲しくて 血塗れのきみ 何が悲しくて 肌色の人びと 何が悲しくて 瑠璃の鳥たち 何が悲しくて ひかりの中で 何が悲しくて 生きる (……嫌いだ) 大切なものたち 大事にしまっ…
白煙のかもめ 何が悲しくて 闇夜の黒ねこ 何が悲しくて 血塗れのきみ 何が悲しくて 肌色の人びと 何が悲しくて 瑠璃の鳥たち 何が悲しくて ひかりの中で 何が悲しくて 生きる (……嫌いだ) 大切なものたち 大事にしまっ…
あなたはひどくためらう。愛することも、愛されることも。愛を拒絶するほどの傷は、何年何月何日何時何分何秒につけられましたと証明する手立てがない。 心の底から、悔しいと思う。目に見えるものしかやはり人々は信じない。数字に、具…
なにもかもがわからなくなるときがある。わからないことがわからない、そんな瞬間に私はこれまで自分が傷つけてきた人々の脊柱を想う。中には同じような色のなにかが詰まっていて、同じような仕組みで動いて同じような感覚で痛みを覚えて…
飛び降りるには高すぎた歩道橋の 欄干は果たして優しさでしょうか 歩道橋の途中で手を伸ばしました 少しでもいいから近づいてみたい 月みたいに死骸となれば私だって ひかりをあててもらえるかもって そんなくだらなさに急かされて…
命だったものの上に 累々と打ち捨てられた 流行りの正義(感)と ヒトナミの中で 私はようやく溺れました 何が悲しいって 見上げた星空の何処にも 約束が見つからなかったのです 孤独などもはや 詠うための言い訳に 変質して久…
テントの中で一番大切なことは 規則正しく生きること 高く飛んだり笑ったり 涙を星と見間違えてはいけない 口を開けていいのは歌うときと 「わかりました」と言うときと 「ごめんなさい」と言うときと みんな大好きと叫ぶときだけ…
たぶん言葉をなくしてしまったんだろう 私はそんな彼を心の底から祝福をしたい 彼の胸元を広くひらいて小さな洋燈や ろうそくのともしびをわけてあげたい 私の愚かさだってそうしたなら 少しはましな遺産になれるんだ 足りないもの…
おさげ髪をほどいたあとにほら ソバージュみたいになるでしょ 少しだけ可愛くなれた気がした 鏡の前でそれでも笑えない娘を 何処からやってきた女が突然に 言葉という恐ろしい武器を用い 未来人を自称しながら刺殺した おさげ髪を…
あたしやっと ピカピカに光る モンブランを食べた ママが絶対にこれだけは 食べちゃダメだって しつこく言ってたから 食べた あたしがいつか 誰かから「彼女」と呼ばれて 知らない間につけられた名前を 遺棄できる瞬間が来る …
どんなに大切に与えられた名前も 言葉ひとつで饐えてしまうから 私たちはとても絶望しやすく バランスを取ることを請求されて 結局あっけなく崩れていくのを 誤魔化すのがとても上手な生き物だ 指先が酸っぱくなっていく不愉快な …