アサシンが朝日に目を細めるとき、そのそばで私は何に涙するんだろう

あなたはひどくためらう。愛することも、愛されることも。愛を拒絶するほどの傷は、何年何月何日何時何分何秒につけられましたと証明する手立てがない。

心の底から、悔しいと思う。目に見えるものしかやはり人々は信じない。数字に、具象に、優劣にこそ価値があり、感情すらもはやデータ化されて久しい。

「鬱になるような人は鉄分が足りないのよ! 鉄分をもっと摂りなさい、それもヘム鉄じゃなくてキレート鉄にしなさい、ビタミンCと一緒に摂取すれば効率よく鉄分を——」

私の頭上でわんわん健康について演説していた誰かさんを、あなたは今日もまたしっかりと手にかけた。あまりにも鮮やかな手さばきだったので、私は思わず感嘆のため息をついた。「優しいんだね」と私がいうと、あなたは「わからない」と首を横に振った。

邪魔が多い。私にはあなたがいれば他に何も望まないのに、私に処方箋やカウンセリングやお薬や慰めを、なぜ与えようとするか。理由はただひとつ、私が「宝物」の隠し場所を知っているからだ。

したごころの末尾にころ。ころをする、からころす。ああなんてつまらない言葉遊び。それにあなたは本気で取り組む。私が幻の声に怯えることを認め、街なかのピアノに仕掛けられた破裂寸前の狂気たちを回収することが生業で、往年のバンドのライブに行くのが趣味で、私がなぜかいつもそばにいて。

アウェイ、アウェイ、いくら孤独を切り売りしたって無駄だよ。私のせいで、あなたのすべてを台無しにしてあげたい。どこにいたって、あなたがあなたでいる限り、不幸になんてなれっこないのさ。

あなたについてこの場で語ることをどうか許してほしい。私は、あなたが否定し続ける愛や絆や励ましや慈しみについて、手垢のついた言葉だけで反転/肯定してみたいんだ。

あなたが私を手にかけてくれるその時まで、私は愚者の仮面を幾重にもかぶって優しい歌だけを口ずさみ続けるよ。もちろん、誰も知らない手すさびと一緒に。