短歌 中央線
1 操車場にはオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる 2 終点に着いたところでこの僕に行き場がないことに変わりはない 3 各駅に止まる人生でよかった あの軒先には風鈴がある 4 蝉の声かき消してゆく列車たち 僕にだ…
1 操車場にはオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる 2 終点に着いたところでこの僕に行き場がないことに変わりはない 3 各駅に止まる人生でよかった あの軒先には風鈴がある 4 蝉の声かき消してゆく列車たち 僕にだ…
1 バタフライピーのピーは伏せ字という嘘を信じている夏休み 2 ブルーハワイ食べ終えたあと正体をべろんと見せて火星に還る 3 プレミアムフライデーって覚えてる? 馬鹿にしないで歴史は得意 4 シャボン玉 大きくすれば飛び…
1 溶けかけの氷に棲んでいた魔物 誰も知らない夏の夕暮れ 2 熱発しようやくあえる人がいる 彼岸へ渡ったゆきちゃんという 3 コーヒーはブラックで職場はホワイトで見上げた空は曖昧なグレー 4 かたつむり両の耳朶まで顔を出…
1 教科書を有害図書に指定せよ量産される「僕悪くない」 2 芽を摘んではみ出た枝葉を切り落としその仕上がりを「優良」とする 3 笑われぬために必死に笑っては自慰の途中で泣き出す娘 4 医師免許弁護士資格教祖様 チューイン…
1 Twitterアプリを消してトレンドを知らない午後に心地よい風 2 伸びすぎた前髪はでも切らないでフィルター越しがちょうど良い視野 3 第六次世界大戦の後くらい 大人がちゃんと謝れるのは 4 停車駅に選ばれなかったホ…
1 雨やどりさせてくださいその胸は私のための空間でしょう 2 きいたことない曲ばかり再生し昭和生まれ!と誹りを受ける 3 野良犬を見なくなったねみんなよくいうことをきくいい子たちだね 4 Uの字のへちまを見つけたら新作の…
1 生まれ変わりがもしあるのなら九十九里浜の砂の一粒がいい 2 濡れそぼる後ろ姿を発見し声張り上げる「新しい顔よ」 3 永遠はその辺にある(まさか、え、まさか)そのまさかです 4 限界を越えて見せろというのならまずは手本…
1 うまそうにマック頬張る顔を見てどこに惚れたか検索をする 2 今買うと百万円のこのツボがなんと三日で壊れて消える 3 言い訳を考えている顔をしていること割とバレてますけど 4 分度器を売ってるコンビニを探して月の裏側ま…
1 ためいきのその先にあるほんとうを知るために今日ペディキュアをぬる 2 新しいスカートにキャミ合わせたら気づいてくれるなどファンタジー 3 耳たぶが厚いんだねと触れられて反則技を見逃すピアス 4 はちみつがなぜ甘いかを…
1 矛盾しているってきみは泣くけれど色恋沙汰に論理は不要 2 うらおもてが許されるのは人生が野球にとても似ているからさ 3 リビングでムーンウォークの練習をしているきみ、たぶん捕まる 4 この部屋も宇宙の歴史の一ページと…