短歌 魚

1

捨てられるだけの尾ひれがひらひらと彼岸で我を手招いている

2

この街にかもめはいない錆びた目をひっさげ歩く魚ならいる

3

包丁のせなで弾かれゆく鱗きらきらとしてああ生きていた

4

包丁でずんと切断した頭部にごめんと添えて生ごみ入れに

5

スーパーの鮮魚売り場で泣いていた魚の目をしたかわいい少女

6

パック詰めされた魚の瞳にも素敵な世界は映るだろうか

7

遠い星からはるばるとやってきてあっという間に水揚げされて

8

真っ昼間ひとりテレビを観ていると魚になってしまうことがある

9

空港でちゃんとチケット見せたのにクール便として空輸された

10

人はみな魚になって痛覚を失った指を動かしている