第一章 カフェと映画館
この頃大流行している映画があるんです、と唐突に若宮に教えられた。大きなヤマが一段落したので有給休暇を取得しようと、申請用紙を提出したときのことである。 「『花束みたいに恋をした』っていうんですけどね」 「はあ」 「一緒に…
この頃大流行している映画があるんです、と唐突に若宮に教えられた。大きなヤマが一段落したので有給休暇を取得しようと、申請用紙を提出したときのことである。 「『花束みたいに恋をした』っていうんですけどね」 「はあ」 「一緒に…
「志望動機は?」 同期の竹中佳樹がタバコ片手にだるそうに聞いてくる。山積みになった捜査資料にゲンナリしていた僕はため息をついた。 「就活生かよ」 「社会の平和を守るため、は嘘だろ」 「なんでだよ」 「志望動機は?」 竹中…