第一話 檸檬

金曜の夜の新宿を、傘もささずに歩く彼は、数多のネオンを睨み返しながら歩いている。その後ろを、訥々とした足取りで私はついていくのだ。 新宿駅を出てはじめて、雨が強まってきたことを知った。濡れながら歩くのは少ししんどい。 「…

第二話 キャラメルフラペチーノ

金曜日の新宿で待ち合わせた。なんでまた、こんなやかましい街に? その問いに彼は、 「スタバに行こう」 と返してきた。 街を見上げればあちらこちらで微笑んでいる、人魚のロゴマーク。 「どのスタバ? この街、スタバだらけだよ…

監視者

それは、見守りという名の監視ではないだろうか。人籠とでも呼ぶべき部屋の中で、彼はようやく涼を得ている。  「外は暑いよ。とても耐えられない暑さだよ。だから君は、その中で穏やかに過ごすといい。ああ、鍵なら預かっておくよ。君…