金魚玉梳かれる髪のきらめきよ 公園に休符遊ぶか夏祭り 夏の星いのち巡ってまばたきよ 不可逆か月を睨んでアゲハ蝶 笹舟に託す吾子の灯ほたるとぶ 夕立がなぐさめとなる帰り道 三拍子最後の電話精霊馬 怪談か風なく揺れるぶらんこ…

初夏

プレリュード移ろいゆくか夏の雲 リグレットつばめよ高く飛んでゆけ 皮膚呼吸フットネイルで思い出す アミュレット摘まれる前に散るかりん アンテナが手折られていま入梅か

初夏

泣きぬれて色づいてゆく紫陽花よ 虹を待つひとに届くかラブレター 梅雨寒よ寂しさと手を繋ぐ夜 夏の風そろそろ前を向くときか トマトこそ恋をしている子の実り

落涙よ花の色まで連れ去って 桜こそ刹那を示す道しるべ しゃぼん玉割れてこそ世の儚さよ なにもかも巡るさだめか花風よ 陽炎がときめき立って犬吠える

春浅い川のみなもの煌めきよ 薄氷にピリオドを打つスキップよ 五線譜よ春告げ鳥を導くか 春風に心弾ませ旅の手記 ひとりごと零してもまだ朧月

新春

息災をインクが告げる年賀状 老いた手で春待つ母の筑前煮 平等か良い子悪い子お年玉 初雪と消える初恋あわい窓 見上げれば祖母の微笑む冬銀河

冬~春

約束が輝きを増す聖夜こそ 残り鷺孤独を辞書に刻んだか ゆく年に感謝を告げて涙明け 子どもらの秘密を知るよ雪だるま 鍋囲む笑い声まで美味い夜 目を閉じて心まかせてアゲハ蝶 散る花よいずれそちらへ口結ぶ 人は人思い知るのが卒…

都市を詠む

白い息はずませ進む交差点 クリスマス山手線で結んだ手 初雪を同じビルから見るひとよ ビル群はイルミネーションみなひとり 枯木立ひとりで歩く渋谷駅 新宿よ冬の落暉に細める目 肉まんであたたまるのが都市の冬

神無月

さよならを見送るだけか秋の風 林檎食む頬に夕陽のさしてこそ 稲妻と落ちる初恋閃いて 目をつむり亡き友と酌む紅葉酒 すすきまで手をふり返すひとりの夜 快速よ待ち人の住む街も秋 オルゴール遠い記憶に照る紅葉 赤とんぼ追い越し…

ひりひりと右肩が泣く秋の蝶 りりりりとなにが悲しい鈴虫よ どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ 驟雨まで私を責めるため降るか アキアカネ恥じらい消えてしまうまで 厳かに影を伸ばしてひらく桔梗 白亜紀も湿らせたのか秋時雨 見上…