ひりひりと右肩が泣く秋の蝶 りりりりとなにが悲しい鈴虫よ どんぐりと寂しさ分かつ手のひらよ 驟雨まで私を責めるため降るか アキアカネ恥じらい消えてしまうまで 厳かに影を伸ばしてひらく桔梗 白亜紀も湿らせたのか秋時雨 見上…

梅雨

雨音のスタッカートに踊る恋 ソーダ水躊躇が喉を下りてゆく 濡れそぼり仰ぎ見る天のモノクロ 蜘蛛の巣も宝石になれ垂れ滴 雨傘をくるりくるりとゆるむ頬 葉の裏のカタツムリこそド根性 長電話すっかり雨もやんでおり ふくよかな母…

目を閉じてそれでも灯る蛍火よ 子のいのち託した蛍去ってゆく 雨傘の柄に重なったふたりの手 紫陽花にスマホを向ける老いた父 結ばれず自由を知った夏の蝶 クーラーのリモコン権が火種とは よく冷えた瓶に頬寄せ笑う子よ 扇風機若…

わたしの初夏

【行事】 後悔も思い出であるこどもの日 背伸びした柱の疵に父笑う 母の日に贈る笑顔の花束よ 【時事】 距離を取ることもあるまい蛇苺 自粛してひとりでに舞うドーナツ盤 麻マスク手垢の意味を問い直す 【恋】 水玉の覚悟を決め…

小包をほどく笑顔に春が来る 書きかけの恋文にひとひらの花 思い出の隅に映えるよチューリップ 少年の道しるべたれ春北斗 帰りみち綿毛を吹けば歌になる 日めくりとともに顔出す葉桜よ シクラメン三連符まで連れてくる 四月馬鹿い…

花吹雪すべて忘れてしまおうか 叶わない恋ならいっそ蝶となれ 草の芽とともに天指す無垢な指 花として歩いてゆけと祖母のふみ いさかいも花の下ではほどかれる たんぽぽをたんぷぷという子がひかり ぜんまいの苦さが旨さになる破瓜…

花吹雪すべて忘れてしまおうか 叶わない恋ならいっそ蝶となれ 草の芽とともに天指す無垢な指 花として歩いてゆけと祖母のふみ いさかいも花の下ではほどかれる たんぽぽをたんぷぷという子がひかり ぜんまいの苦さが旨さになる破瓜…

鷺の巣に手を伸ばしたらそよぐ声 春雷よ私の恋をごまかすな 東風を知り戻れぬ日々にただ涙 放課後の口笛とける春の闇 厳しさは優しさだった春一番 芽吹きとは前を向くための道標 寄り添うとすぐにほころぶ梅ときみ 遠い自由に憧れ…

ぷっくりとふくれる頬と梅つぼみ 梅の香が考えごとをさえぎる夜 生き急ぐこともあるまい花の兄 目覚ましに梅干しひとつ受験生 手のひらに梅の花びら母わらう ペンネームの由来にした春便り からころと楽しい梅の花の散る 冬の梅こ…

クリスマス

ろうそくを吹き消してまだ残る影 児の期待踏みしめておけサンタさん クリスマス百点満点として笑む ハズレなし優しい夜を引き当てた 雪を待つ人に届いてほしい歌 鈴の音が幻でもなお嬉しくて 微笑みもオーナメントだ木々揺れる お…