おとぎばなしに風は吹かない

命だったものの上に 累々と打ち捨てられた 流行りの正義(感)と ヒトナミの中で 私はようやく溺れました 何が悲しいって 見上げた星空の何処にも 約束が見つからなかったのです 孤独などもはや 詠うための言い訳に 変質して久...

針と糸とを

テントの中で一番大切なことは 規則正しく生きること 高く飛んだり笑ったり 涙を星と見間違えてはいけない 口を開けていいのは歌うときと 「わかりました」と言うときと 「ごめんなさい」と言うときと みんな大好きと叫ぶときだけ...

穴埋め問題

たぶん言葉をなくしてしまったんだろう 私はそんな彼を心の底から祝福をしたい 彼の胸元を広くひらいて小さな洋燈や ろうそくのともしびをわけてあげたい 私の愚かさだってそうしたなら 少しはましな遺産になれるんだ 足りないもの...

踏んで勝つひと

おさげ髪をほどいたあとにほら ソバージュみたいになるでしょ 少しだけ可愛くなれた気がした 鏡の前でそれでも笑えない娘を 何処からやってきた女が突然に 言葉という恐ろしい武器を用い 未来人を自称しながら刺殺した おさげ髪を...

モンブラン

あたしやっと ピカピカに光る モンブランを食べた ママが絶対にこれだけは 食べちゃダメだって しつこく言ってたから 食べた あたしがいつか 誰かから「彼女」と呼ばれて 知らない間につけられた名前を 遺棄できる瞬間が来る ...

味蕾

どんなに大切に与えられた名前も 言葉ひとつで饐えてしまうから 私たちはとても絶望しやすく バランスを取ることを請求されて 結局あっけなく崩れていくのを 誤魔化すのがとても上手な生き物だ 指先が酸っぱくなっていく不愉快な ...

pinta(糸電話のひみつ)

せっかく神様と糸電話してあなたの秘密を聞き出そうと思ったのに、耳に入ってくるのは痙攣しながら諧謔を弄する言葉ばかり。  たかが孤独です、糸電話で繋がったところで埋められるものではないし、そもそも孤独を癒してほし...

虫ピン

ぽつぽつと雨の降る朝 折れかけた魔法の杖と 鈴なりになった眼球と 三匹の蛇の頭を携えて あなたはお仕事へゆく ささやくように悲鳴をあげる 日記をすべて燃やしています もし無事に私が私を殺せたら どうか捕まえてくれませんか...

スーパースター

私がいなくなっても 大丈夫だってことを 海馬の奥にまで思い 知らせてくれたのは 間違いなくスーパースター 誰よりも夢の味を知ってて 量産方法をばらまいてから 私にとどめを刺してくれた 何も変わっていないんだ 冬の始まる匂...

反転

反転した! 何もかもが 私に断りもなく反転した! 敵だと思っていたミーコちゃんは猫だった 好きだと疑わなかったコーラは無害だった ヒットチャートが上から紹介されていき 無関心こそが愛であったと息を絶やして 神様から順番に...