私の庭(という強制的沈黙)

遠くで破裂音がして 目が覚めた青い夜は 寂しくなってもいい 冷たい廊下を裸足で歩いて 自分の首を絞めようとして でもできなくて泣きました カチューシャが似合わなくなって 夢の国だけでワンピースを纏って どんどん静かになっ…

ポインセチア

迷妄をさらけ出した空は 雲をさらって落暉を隠す 真冬に凍える部屋の隅で 漸くまぶたを開いたのに 光を求め扉を開けた途端 冷たく降り注いだ視線が 私の脳天をずんと直撃し 紅い徒花を咲かせるのだ 私の思考はやがて白濁し 流転…

ラドリオ

息を止めないと 泳げない僕らだから 呼吸とは足枷のことだ 大空を飛んでみたいと 翼ばかり欲しがる僕らは 神さまのただの誤算だ 息を止めないと 苦しくなってしまう僕らの 息苦しさはもはや喜劇だ(笑え) 息を止めないと地球に…

ぴかり

沈黙はあまりにも美しすぎて 怖くなるから破ってしまった 秘すれば咲く花は散りました 夜空に煌めくぴかりお星さま 今年も出逢えたオリオン座も 無常以上に官能的な音を立て 彼方へ沈んでいくのでしょう お願い置いてかないで ま…

アトリエ

幼拙な傷は容赦のない絶縁体 六弦を抑える指がまだ汗ばみ 古ぼけた腕時計と一緒にいる 秋の空白(やり直しはなし) 孤独は足し算できなかったね 藍色のペディキュアをひどく 気にした日々が過ぎ去って今 アキアカネ舞う密やかな迷…

ブギーサンセット

ガラス瓶を割って青春のノートを引き裂いて思い出の歌を燃やして、それでも無傷の世界を憎んだ。勝手に祝福されている季節が容易く流す光が乱反射して、有象無象の天使たちにウケている。 僕は命を度外視して、悲しいことがあると平気で…

アイキャンフライ

アイキャンフライ、アイキャンフライ、どんなに唱えても悲しいだけなら、せっかく狂った甲斐がない。傷を負えば負うほど輝きを増すから、人のこころというのは厄介な仕組みをしているね。ときにその光に眩んで、大切なものを見落としてし…

抹茶ラテ

混濁した季節に 清く正しく堕ちていく貴方は 只管に美しいね 埋めた傷なら芽吹いたよ 小学生に観察されているさ 錆びた悩みなら絡め取ったよ 中学生が興奮しているさ 浅はかな朝は そろそろ暴かれるでしょ 神様の逃げ出した視界…

毒りんごのゆくえ

耐えて 耐えて耐えて耐えて 耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて耐えて ぷつん と ちぎれた糸は用無しになって ごみ箱に押し込められるけど 今のはあたしの神経ですから 編み直すので返してください (思い出は美化し放題! 二時間…

経験値

私が飛散したあとの地に 曼珠沙華がわらわらと咲きました 笑顔の老婆がひとつ手折って 経験値、経験値と呟いて 一輪挿しに収めます それを窓辺で見ていた少女が ごくんと喉を鳴らしたなら 真っ赤な花弁たちは一斉に 彼女を撃ち抜…