モンブラン
あたしやっと ピカピカに光る モンブランを食べた ママが絶対にこれだけは 食べちゃダメだって しつこく言ってたから 食べた あたしがいつか 誰かから「彼女」と呼ばれて 知らない間につけられた名前を 遺棄できる瞬間が来る …
あたしやっと ピカピカに光る モンブランを食べた ママが絶対にこれだけは 食べちゃダメだって しつこく言ってたから 食べた あたしがいつか 誰かから「彼女」と呼ばれて 知らない間につけられた名前を 遺棄できる瞬間が来る …
どんなに大切に与えられた名前も 言葉ひとつで饐えてしまうから 私たちはとても絶望しやすく バランスを取ることを請求されて 結局あっけなく崩れていくのを 誤魔化すのがとても上手な生き物だ 指先が酸っぱくなっていく不愉快な …
せっかく神様と糸電話してあなたの秘密を聞き出そうと思ったのに、耳に入ってくるのは痙攣しながら諧謔を弄する言葉ばかり。 たかが孤独です、糸電話で繋がったところで埋められるものではないし、そもそも孤独を癒してほしいなんて誰…
ぽつぽつと雨の降る朝 折れかけた魔法の杖と 鈴なりになった眼球と 三匹の蛇の頭を携えて あなたはお仕事へゆく ささやくように悲鳴をあげる 日記をすべて燃やしています もし無事に私が私を殺せたら どうか捕まえてくれませんか…
私がいなくなっても 大丈夫だってことを 海馬の奥にまで思い 知らせてくれたのは 間違いなくスーパースター 誰よりも夢の味を知ってて 量産方法をばらまいてから 私にとどめを刺してくれた 何も変わっていないんだ 冬の始まる匂…
反転した! 何もかもが 私に断りもなく反転した! 敵だと思っていたミーコちゃんは猫だった 好きだと疑わなかったコーラは無害だった ヒットチャートが上から紹介されていき 無関心こそが愛であったと息を絶やして 神様から順番に…
私が覚悟を決めあぐねているうちに、あなたは新宿駅の新南口からよく見える位置の植え込みで全身を電球と電線で巻き付けられて、寒くなれば空気の冷たいほうがイルミネーションがよく映えるんだよと付き合いたてのカップルが恥じらいなが…
なぜかしらあなたは私にあまねく了解可能な理由の明示を迫ってくる。そんなものは仮に存在してもおおむね嘘なので「冬か来る前にあなたへ手紙を宛てるんです、奥多摩の小さな美術館の隅に飾ってもらえるよう」と柔らかく抵抗すると、あな…
悲しい時ではなくて 嬉しい時に叫びたい 嫌な時には嫌なんだと 嬉しい時には嬉しいと 心のままにころころと 幼いころなら全身で伝えることができたことを 臆病さの染みた鈍色の瞳が拒絶してしまうから 私はこのごろは鏡を見ること…
訳知り顔の自称友人たちが 同じアイスドリンク片手に 今日も群れなしてニコニコ みんな笑顔で良かったです その感情は転送でもされているのかな 一様に笑顔で楽しそうなものですから とうの昔にシステムエラーを起こして アップデ…