短歌 雨になる
1 土曜日があなたのせいで雨になる好きにならないわけないだろう 2 癒されてほしくない傷だってある生々しいと美味しそうでしょ 3 風船は割れてはじめて風船を欲しがった日に音符を添える 4 燃え盛るほどに心は弱くなる焼き場…
1 土曜日があなたのせいで雨になる好きにならないわけないだろう 2 癒されてほしくない傷だってある生々しいと美味しそうでしょ 3 風船は割れてはじめて風船を欲しがった日に音符を添える 4 燃え盛るほどに心は弱くなる焼き場…
1 見守っているとあなたは仰るがそれは見張りとどう違うのか 2 パレットに黒と白しかないなんてその身に巡る血を思い出せ 3 素数より美しいものを知らないこの人生は上々である 4 誘蛾灯ぜんぶ折ってもいいですか許可されなく…
1 靴下は片方なくすと気づくでしょ素足を寄せるこの音が好き 2 スイッチは軽い気持ちで押しましたまさか全員消えちゃうなんて 3 「愛だよね」確認された瞬間に愛じゃなくなるなら愛じゃない 4 鼻唄は洗濯機にも伝染し土曜の昼…
1 万華鏡 説明責任から逃れ数字となった人々の夢 2 飼っているインコが死ねと言い出した取り返しっていくらでつくの 3 平準化された笑顔で渡される林檎を嚙る芯はへし折る 4 人の声じゃないといいねあの家はペット禁止のはず…
1 カレー屋の屋号が変わった気がしててチェックのためのバターチキンだ 2 新宿のエスカレーターのくだりに終わりがないと思わなかった 3 各停はだめなわたしをだめなまま古書とカレーの国へ導く 4 踊れないアルゴリズムはリズ…
1 「守りたい」「壊したい」とで揺れているきみの二の腕なんか冷たい 2 殺されるならほっぺたにいい歳をしてケチャップつけたきみがいい 3 ライオンは生存のためだけ殺すいのちの価値を知っているから 4 カレー屋の屋号が変わ…
1 許されていたと気づいてあの頃の自分にかける「大丈夫だよ」 2 嫌なことばかり目につく金曜は好きなケーキを買うべきである 3 「死にたい」と「死ぬ」の間に横たわる遥かな川を白鷺が征く 4 道端に落ちたザクロを踏んづけた…
1 美化されず今日まで共に在った傷こころははだかちゃんとすごいよ 2 反抗をしない者だけあたたかいスープが飲めるここは東京 3 真夜中にこっそりチョコをくれた女性ひと「早く出てきな」お元気ですか 4 正当化事由に貼った付…
1 好きだから好きと伝えただけだからそんな無難な目を向けるなよ 2 猫の目に大した意味に映らない見た目ばかりが整ったもの 3 叫びたい衝動よりもそのあとの疲労について話しましょうか 4 間違えるのがそんなにも怖いのか深夜…
1 クラクション 猫よりきみが驚いて非日常へと逸れる側道 2 ひどい雨ひどい青春ひどい傘 だってすべてが美化されるから 3 筆箱の隅にくしゃりとパンダの絵いつかどこかで使った切手 4 変なひとばかり周りに集うのはわたし…