短歌 色彩
1 太陽を赤色で描く子どもらの瞳に映るはじめての嘘 2 「本当に削除しますか?」の画面に選択肢が「はい」と「Yes」しかない 3 風を受けはためくTシャツの裾っこを触ってもいい季節ですよね 4 不安から恐怖に変わる瞬間の…
1 太陽を赤色で描く子どもらの瞳に映るはじめての嘘 2 「本当に削除しますか?」の画面に選択肢が「はい」と「Yes」しかない 3 風を受けはためくTシャツの裾っこを触ってもいい季節ですよね 4 不安から恐怖に変わる瞬間の…
1 頬杖をついて読書をしてるけどさっきのことは内緒なのかな 2 それ以上優しくしたら許さない本気で私を壊しにきてよ 3 わからないことほど面白いけれどきみを超える謎なんてない 4 よく熟れたいちごをひと口で食べ切る潔さな…
1 黒い猫として生まれて疎まれてそれでも雨に打たれる権利 2 街じゅうに傘の花咲く 正しさはどこにもないと数人気づく 3 銅像の濡れそぼっても堂々ともろてを伸ばす先の暁光 4 夜が明けてまだしとしとと降ってたら私たちきっ…
1 ライオンもウサギもヒトもみんなして心臓ひとつ風にまかせて 2 ラジオから聞こえたきみのSOS ごめんradikoじゃ一分遅れ 3 扇風機ひとりぐるぐると回って虚しいところが私みたい 4 飛べるはず空ではなくて影のほう…
1 キラキラときれいごとほどよく光る死んだ魚のうろこみたいに 2 新鮮なうちに早めに召し上がれうらみつらみもねたみもすべて 3 痛覚がなくてよかったという人が舌鼓を打つあなたの残滓 4 泳がせていた筈のこいが消え去り幻を…
1 溶けてゆくバニラアイスを目で追ってなんだかんだで気持ちに気づく 2 包丁を握るその手がもし私のためにあるなら怪我はしないで 3 きみの目に映るわたしはかもめの目をしてきみのことだけ見ている 4 帰り際「楽しかったね」…
1 明け方にピンク・フロイド聴くきみを迷惑なんて思わない 好き 2 影踏みで勝ったことない紅組も白組もみな混ざりあってた 3 旅に出たモモイロペリカン捕まり居場所はここじゃないと泣いてた 4 好きな色はと聞かれてピンクだ…
1 他人事としてサイレンの声を聞くうちのスープはあったかいなあ 2 質問がないならこれで終わります(終わらせるのは何もかもです) 3 まぼろしの埋蔵金を見つけたらテレビクルーが来てくれるかな 4 闇堕ちは正規ルートの花道…
1 雷鳴を受けて微笑むきみがまた万華鏡と手すさびをする夜 2 眠りより優しいものがあるとして信じないのは私の自由 3 また消して書いては消してまた書いて結局捨てたきみへの懺悔 4 みじん切りするとき添える親指の無事を願え…
1 目くじらはどこにいるのかと問う子は大きな海しか知らないんだな 2 消したって無かったことにはできない消しゴムかすがすべて知ってる 3 へちまって役に立つからこのへちま!は確か褒め言葉だよ 4 日陰には日陰の良さがある…