今日の短歌

1 風呂上がり米を研ぎつつ聴くラジオいつもの声に励まされてる 2 叫ぶよりもう倒れたい夜だけど深夜ラジオが笑かしてくる 3 通勤のお供はラジオ満員の京王線で笑みかみ殺す 4 三叉路を過ぎればきみがいる…

今日の短歌

1 予報にはなかった雨に濡れそぼり帰る家にはきみという謎 2 今どきはわかりやすさがウケるけどきみという謎だけは解けない 3 正答のないなぞなぞを解いている気がするきみのとなりにいると 4 カーディガ…

今日の短歌

1 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 2 不器用はもはや伝統芸能かいっそ人間国宝になれ 3 一人称複数形ではや十年なんだかんだで今日も笑顔で 4 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺…

今日の短歌

1 「うん、いいよ」そこで途切れたやりとりのとなりで揺れる曼珠沙華たち 2 若かったそれよりずっと馬鹿だった落暉を何度見逃したろう 3 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 4 「スプーン…

今日の短歌

1 耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく 2 蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ 3 ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き 4 ただいまを二度と言…

今日の短歌

1 私たち不器用だねと笑いあう月曜日って実は尊い 2 「うそつきは消えて」あなたの笑顔ごと沈めてしまうレモンスライス 3 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 4 明大前そんなに人を…

今日の短歌

1 (猫がいる)すれ違う人それぞれに悩みがあって秋へと向かう 2 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 3 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 4 わがままも貫い…

今日の短歌

1 解のない問題文を与えられ((大丈夫))って繰り返してる 2 ようこそ に愛を感じる画面には淋しがり屋の顔が映ってる 3 今日未明檸檬爆弾未爆発無事故月曜超絶憂鬱 4 寂しさも自分の一部わかってる手…

今日の短歌

1 「愛してた」なんて過去形はいらないメタルまみれのプレイリストに 2 回転をやめないミラーボールああライブハウスに骨を埋めたい 3 鮮やかにぶたれるドラム昔から優しいだけじゃなかったんだね 4 消印…

今日の短歌

1 ああそうか星の見えない夜だからきみの涙が見たくなるんだ 2 真実はいつもひとつというけれどたまに複数あったりもする 3 なぞりつつ今日雨だねとつぶやいた窓枠がひしひしと軋んだ 4 落ちる砂見つめて…