きみ

1 寝坊助のきみのほっぺをつねるとき我は稀代の悪者となる 2 もしきみが病める朝にはアラームを止めて私もそっと閉ざそう 3 ワイシャツの襟を直してあげるとき きみは黙ってペンギンになる 4 三日月を美味しそうだというきみ...

1 愛がもし海によく似たものならばなるべく広く深くありたい 2 使い捨てカイロに礼を言ってから捨てるあなたのあたたかいクセ 3 錆び付いて誰も乗らないブランコを揺らすみたいな愛の告白 4 秘密などなにひとつない愛しさがあ...

ぬるい

1 どうしてもあなたのことが許せない なぜ目薬にわさびを混ぜた 2 入口が出口で入口が出口 人は自覚の足りない迷子 3 生ハムが生きたハムだと思ってたあの頃皿はまだ白かった 4 脳内に住むおっさんの口ぐせは「まぁいいじゃ...

1 言い訳を並べるだけの「すみません」手にかけたくはなかったけれど 2 鉛筆をナイフで削る指先はおそらく誰も傷をつけない 3 レシピには載らないものを手に入れて料理サイトでエラーになった 4 幼い日ごつごつしてた父の手を...

1 きみはまた私がすきだなどという そんなことより月がきれいだ 2 ピアノよりきれいな声で泣けるなら今すぐここで泣かせてあげる 3 春を待つきみのとなりで雪を知る たぶん私の早とちりかな 4 整った食器棚には嘘がある 短...

ひみつ

1 君の横空いているなら1名で今すぐ予約させてください 2 言い訳を探してるうち春が来て夏去り秋に枯れ果てるひと 3 折る指も足りなくなって心臓を差し出しました きみに逢いたい 4 髪の毛も爪も裸もきみのため気を衒わずに...

願いごと

1 首を吊るための道具と知っていてあなたに贈る手編みのマフラー 2 飴玉を転がす舌先を眺める 赤色3号はたぶん私 3 手を繋ぎおんなじ月を見上げても一つになれない 寒さのせいだ 4 道端に落ち葉に隠れ朽ちていた小鳥の死骸...

挨拶

死にたさは生きたさですと教科書に載っていたから絶対に嘘 階段が天国にまで続いててああよかったなって一歩踏み出す 目の前を通過列車が過ぎてってあたしのこころだけ轢いてった 帰り道赤信号だけを選んで歩いたけれどまだ生きている...

優しさ

ふりこって誰がどうあれあるがままふれているから羨ましいな 心臓の奥の奥より奥のほう 君が粗末に捨てたまごころ 優しさは流行らないから味のないガムを選んで渋谷を歩く ふたりして爪を噛むからふたりしてひとりぼっちをディスプレ...

放置

断言が断罪になるというのなら早く私を馬鹿と貶して この駅に快速列車が止まらないのも寂しさも私のせいだ 鈴虫に唆されて僕はいま誰も知らないソリストになる メロディを重ねるたびに嘘がほらバレていくから早く歌おう むかし観た映...