短歌 中央線
1 街中のネオンサインを消し去って残る文字こそ私の名前 2 泣きながら生まれてきたしこの頃は笑ってみても咎められない 3 通過駅に懐かしい名を見つけて頭の中で絶叫をする 4 繋ぐ手に嘘偽りはありません 冷や汗動悸 いいえ…
1 街中のネオンサインを消し去って残る文字こそ私の名前 2 泣きながら生まれてきたしこの頃は笑ってみても咎められない 3 通過駅に懐かしい名を見つけて頭の中で絶叫をする 4 繋ぐ手に嘘偽りはありません 冷や汗動悸 いいえ…
1 優しさは真綿となってその首に巻きつくために存在してる 2 忘却はなだらかな線を描いてやがてあなたの鎖骨に刺さる 3 愛してる愛してたまだ愛してる 振り子の等時性を疑う 4 曇天でよかった私もう少し誰も呪わず生きてゆけ…
1 この窓は君に続いているだろう 何があっても開けないだけで 2 三日月を飾ってみるとモミュの木は優しいほうへ輝きを増す 3 限られた命と知ってなお犯す過ちまでももはや愛しい 4 駅舎から海が見えると君は言う その水底に…
1 支配者の寝顔に油性マジックで綺麗な花を描いてあげたい 2 怒るべきときがあるから今はただは葦の隣でゆらり揺れてる 3 ステータスなんかできみを見ていない 学歴 お金 ぜんぶモノクロ 4 誰がどう言ってもがいいさこれか…
1 鈴なりの柿をもぐ手の白い様 冬よ二人に早く来てくれ 2 読書する君の視線がたどる文字 それすら嫉妬する理由だよ 3 肺呼吸すら苦しいと頑なな君をこのまま抱いてもいいか 4 赤ペンを握るその手の体温を奪うことなど考えて…
1 ターコイズなんだね君の両の目はどうりでひどく傷つきやすい 2 信号がエメラルド色に灯るとき人々の歩は二拍子になる 3 どこかにはダイヤのような輝きがこんな僕にもあるのだろうか 4 アメジストでよかった君の誕生石 二月…
1 耳たぶに穿たれている穴二つ誤魔化すように石がきらめく 2 路傍には鍵が落ちてて行き先をなくしたバスを猫が手招く 3 紅茶とはお湯がなければ枯葉だと憂うあなたのため息のクセ 4 飛ばされる駅の近くに住んでます あなたは…
1 とりあえずキスでもしとく? 明日まだ呼吸してるか自信がないし 2 ドーナツの穴から君を覗いたら虚しさの意味を思い知った 3 人間の仕組みなんです寂しいと爪を噛むのも旗を振るのも 4 丁寧語なんてやめてよ言い訳が上手く…
1 底冷えの街に暮らして明日もまた同じ夕陽を待ちわびている 2 街はもうクリスマスなどは置き去りそんなものさと笑うみなさん 3 から回る歯車抱いて星空を見上げ損ねる日々を重ねる 4 ほらここが孤独の巣だと指をさす左の胸の…
1 これ以上嘘はつけない幸せになったところでそれ嘘だから 2 テーブルにとまった羽虫を潰してほんの小さな罪に溺れる 3 もう誰も思い出さない忌念日が私の手帳にシミをつけてる 4 笑うしかない僕らには嘆く暇なんてないからも…