短歌 雲にあだ名を

1 拡張子 .tttなんて誰も使ってない忘却は優しい仕組み 2 夜が明けるまで鍵盤の前にいて聞こえる音をきみは想った 3 匂わせた刃むなしく引っ込めたあの人は今 あの人は今 4 おとなしく折り目正しい者たちがスマホ越しに…

短歌 ん? ん? え? は?

1 「平等」と「優劣がない」との差を知ると眠れなくなるけどなんか素敵だ 2 思春期を終われないまま思秋期を迎えた人が訪ねてきた午後 3 ハイハット・シンバルみたく人生が操作できたら飽きてしまうよ 4 挫折って決めつけられ…

短歌 白いベンチ

1 もういない信じたくないでもいない笑えてるって伝えたかった 2 この風に吹かれるための傷だったコートを脱いで空へ晒そう 3 鈴が鳴るあなたはあなたのままでいいとかいう奴はみんな嘘つき 4 きみの目が春を察して立ち上がる…

漆黒の獣

目の前の花瓶に陽光が通過して、この白い壁面にプリズムが差したところで、きみはその色彩に全く興味を示さない。 僕は、考えている。朝起きてあくびをするとき、この部屋のカーテンを開けるとき、朝食の卵をサニーサイドアップにすると…

短歌 氷を噛む

1 カルテにもオチをつけたい ねえ先生、わたしが人に見えていますか 2 「この糸を赤く染めたら結ばれる?」知らんわAIにでもきいとけ 3 春が来る怖さのあまり価値観の土台を壊す重機を探す 4 詩歌など要らない人生もあるら…

4,5,7

strawberry feels foreverの続きです サイコっぽい男「きみを剝製にしてあげる」 付き合っていた女「そんな……剥製づくりに必要なミョウバン、塩、石膏、ウレタン、すべてが値上がりしてるこのご時世に!?」…

今日の短歌 お探しのページは削除されました

1 履歴書の特技の欄が埋められずますます自分が好きになった 2 「気車」じゃなく「汽車」なんだって知ってても「×ばつ」を書き足さないといけない 3 殺したいとすら思わず切先を滑らせてほら美味しい刺身 4 舌足らずな伝え方…

今日の短歌 見殺し

1 考えてしまうここまで生きるためお前わたしは何を見殺しにした 2 気にしない人の噂もゴシップも落ちゆく砂が止められたなら 3 来年も旅行をしようそのために貯金をしなきゃまずは点滴 4 猫は猫スマホを捨てることがもう半身…

今日の短歌 ポルボロン

1 手放した風船高く消えてゆく傷よ痛みよ光に溶けよ 2 三連休しずしず過ぎるできたての口内炎もちゃんと愛しい 3 愛なんて口走ったらポルボロン奇跡も嘘も必然のうち 4 からっぽの金魚鉢にも茜さす香りの失せたミントガム吐く…

今日の短歌 悲しい予感

1 背中から抱きしめてやるもう秋が去ってしまうと泣いているのか 2 青色のクリームソーダあなたとはわかりあえないぶんだけ甘い 3 昼下がり梨を剥きつつ眺めてる遠い世界の謝罪会見 4 何度でも壊れるきみを何度でも抱きしめて…