今日の短歌 綺羅星
1 ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる 2 髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから 3 「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く 4 フィクションとノンフィク…
-->
1 ほっといてくれといわれてほっとくとなんでほっとくのっていわれる 2 髪切ったわけをきちんと質してよきみのせいだと糾したいから 3 「雨ですね」それきり口を開かずにふたりぼっちで遠雷を聞く 4 フィクションとノンフィク…
1 降り注ぐ陽光のなかほどかれる過去は過去だと捨て置けますか 2 舞い落ちるその一葉を目で追ってそのままふたり踊り続ける 3 終わりとは意味のあること秋楡に託す言葉を一緒にさがす 4 月までも凍える夜に寄り添ってホットミ…
1 ペディキュアは夏へのとびらアスファルトを滑走路にして走り出す 2 きみでいい なんて真っ赤な嘘だったほんとはきみじゃなきゃだめなのに 3 横にしか首を振らない扇風機 冷えたゼリーにスプーンを挿す 4 もしきみが す …
1 カーテンが窓辺に遊ぶ日曜にカウントダウンしてゆくいのち 2 願いごとまみれの笹を携えた子らに注いでいる酸性雨 3 新宿で辞書に載らない寂しさを遺棄するために息する僕ら 4 頑かたくなに閉じたこころがほどけだす夏だひか…
1 降り注ぐ火の粉を数えているきみ正常なんて野暮な季節だ 2 ゆりかごを胸に置きざり泣きかたもわからずきみは大人になった 3 打ち上がるたびにこっそり見つめてたまつ毛の長いきみの横顔 4 お土産は大事な人を数え買う片手で…
1 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 2 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 3 発つことになったと告げてきみ見れば真剣に納豆を混ぜてて 4 お隣に行くだけでしょう電話なら毎日す…
1 打ちつける粒のひとつを指で追い泣き出すきみの背中を見てた 2 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 3 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひとつが尊いなんて 4 大雨の夜はなにかが目を覚ますそれより…
1 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 2 ウェブニュースコメント欄を消去してきみは優しい歌だけを聴く 3 情報化社会で弱者と呼ばれてもきみがしあわせならそれでいい 4 笑顔には二種類あって向けられて嬉しい…
1 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた 2 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 3 ガラス戸にさしこむ夕陽つかまえて囚われているのはきみのほう 4 なにごともなかったように続いてる線路…
1 風呂上がり米を研ぎつつ聴くラジオいつもの声に励まされてる 2 叫ぶよりもう倒れたい夜だけど深夜ラジオが笑かしてくる 3 通勤のお供はラジオ満員の京王線で笑みかみ殺す 4 カーディガン脱ぐとききみが目をそらす Don&…