2019って素数だと思っていたから、ものすごく怖かったの。そこへ673で割れるって、だからあいつは素数じゃないって、教えてくれたのは通りすがりの三毛猫でした。語尾に「にゃあ」とか附いているのかと思ったら、それは流暢な日本語だったからガッカリしたよ。
コンビニの入り口の暖簾には「恵方巻」の文字。なんだいつからこの国はイベントに追いかけられるようになったのだ。人々はかけっこしっぱなし。ついていけない奴は口を封じられる。もう破滅系ロックでも聴こう、流行歌がつまらないと嘆く前に、ヘッドバンギングで暇を潰してみよう。
「私はもはや、叫ぶ言葉を失った!」
その矛盾をくだらないと呟くよりも悲しかったのは、正義の数だけ悪があるという事実を、セキュリティーソフトとコンピューターウィルスに喩えたこと。それじゃまるで、ただのいたちごっこじゃん。よーいどん。
叶わぬ恋の数は常に素数だって知ってた?
殺し損ねた欲の数だけ星があるって知ってた?
673に誕生日を加えると、虚しくなるって知ってた?
目の前で傾いていく夕陽とカレンダーの「2019」の文字。もう全然優しくはなれないけれど、せめてそれがブレイクの語源だってことだけは伝えておかなきゃいけないね。
(一等、紅組。二等、白組。三等、徒花。おめでとうございます!)
虚しさにも色彩があれば、少しは大切にできるのかな。2027まで素数はないから、それまでに身ぎれいにしておきましょうね。数学の先生がそう言ってた。生存すら人の所為にして、今日も私はヘッドバンギングする。