1
首を吊るための道具と知っていてあなたに贈る手編みのマフラー
2
飴玉を転がす舌先を眺める 赤色3号はたぶん私
3
手を繋ぎおんなじ月を見上げても一つになれない 寒さのせいだ
4
道端に落ち葉に隠れ朽ちていた小鳥の死骸を避けて進んだ
5
初詣 隣で手を合わせるあなたのお願いごとになれますように
6
寒さって言い訳になる気がするの 何も言えなくてもそばにいる
7
「じゃあまたね」冗談じゃないこのままで私は何処へ帰るのだろう
8
切っ先は笑顔に勝てないことを知りずっと微笑む あなたのために
9
カーラジオつけっぱなしで夜は逃げ朝があなたをめった刺しにする
10
まだですか 芸能人の訃報より早くあなたの悲鳴が聞きたい