短歌 わがまま

1
わがままを許してくれた夜のこと永遠にして胸に沈める

2
きみの目のなかの私はなぜかしらいつも寂しい顔をしている

3
トンネルを抜けてはじめて助手席のきみの涙の意味がわかった

4
秋風は出せずじまいのお手紙の正しい弔いかたを知ってる

5
梨を剥く指先でさて幾人のこころを葬ってきたでしょう

6
無難さがトレンドとして跋扈する ときに誰かを轢死させつつ

7
「がんばれがんばれがんばれがんばれ」お願いだからもう許してよ

8
日が沈むただそれだけを理由とし分裂をする僕の認識

9
うずうずと甘いスタバの新作にあたしはすべてを委ねている

10
舌を出すときの少しのためらいが僕があなたを愛する理由