幼拙な傷は容赦のない絶縁体
六弦を抑える指がまだ汗ばみ
古ぼけた腕時計と一緒にいる
秋の空白(やり直しはなし)
孤独は足し算できなかったね
藍色のペディキュアをひどく
気にした日々が過ぎ去って今
アキアカネ舞う密やかな迷妄
「愛しい」が「悲しい」に聞こえる虫の声に
力いっぱいに唇を噛むばかり
残酷に限りなく近い星ぼしと
揺らいでいる視界と意識とが
遠くなる何もない(何も)
秋風を頬に受け目をつむれば
滅びた者たちの歌が聞こえる
選択肢を失くし叫ぶことさえ
できないで喘いでいる者たち
後悔だけがきれいな額縁の中
きれいね、きれいねって皆が
私以外展示されている地球と
いうアトリエは宇宙を彷徨い
どこへ向かっているわけでも
美しいものは美しいだけで罪であると
ただただ静かに心は泣いているけれど
笑い声を挙げる者だけが巣食われるの
明け透けな嘘がどんどん膨張していく
雨の日にクッキーを二十枚焼きました
規定に従って人格がほつれるほつれる
否定、否定、一周まわってエンジョイ
どうせ誰にもなれやしないと
吐き捨て誰かさんの影として
静かに老いてゆければと思う
それ以上は何も望まないから
今夜悲しいニュースを消そう
暗い道に
ぽっぽっぽっ
光の灯る
ぽっぽっぽっ
笑みの咲く
(強制されて)
少しだけ呼吸が乱れてふと気づく
心の中に棲みつく悪魔に同情して
今を汚して居座り痛みと憎しみを
連鎖させている諍いは赤子の頬も
凶器に変えて振りかざす孤独とかシナプスジエンド
悩みを吹き飛ばせる世にも奇妙なファーストフード
あの日から脳裏に焼きついている
青空をひび割れさせた痛みが今も
ダラダラと血液を流し続けいてる
まだラストシーンはやってこない