短歌 天気雨

1
いつの日かわかりあえると信じてもブルーブラックインクは滲む

2
私から嫌いになると思うからもう少しだけここにいさせて

3
おやすみがうまくいえないまた明日会えるはずだと信じられずに

4
ジュテームの意味も知らずに愛犬に名付けて呼べば皆が振り向く

5
キスをした夢から覚めて午前二時とつと秒針だけがうなずく

6
聞こえないふりをしていたさよならはクリームソーダと一緒に溶けた

7
天気雨 袖を濡らして生き急ぐぼくらを笑い励ましている

8
傘忘れ会いに来たのはまたきみに会う口実を作り出すため

9
右側はあなたのものださあ早く愚かな支配者の顔をしなさい

10
優しさを覚えるたびに人呪うための魔法を忘れてゆける