短歌 きみのとなり

1
行き先を知らないバスに乗るようなきみのとなりで過ごす日常

2
いつかまたきみが壊れてしまったらリビングの薔薇を新しくする

3
美学には程遠い場所にある生き様をどうか笑っていつもみたいに

4
駅前のネオンがちかり瞬いてまだ平気だと誇張している

5
群れをなす制服たちが支配する京王線で育てる双葉

6
ごく普通普通普通のこととしてきみは十三夜に綻びた

7
停留所だけが孤高を知っている乗り遅れたらふたりぼっちだ

8
あの事故もあの殺人もゴシップもひとごとだからご飯にしよう

9
ただいまと口にするときおかえりがセットじゃないと(ここは砂漠か)

10
ロマンスもカネもいらないただきみのとなりって事実をください