1
やがて夜サーカス団の解散後ひとり花びら数えるピエロ
2
舞い落ちる花弁に気づくいのちとは終わるからこそ尊いのだと
3
壊廃ののちに見上げた花曇り部屋の隅っこの古い地球儀
4
テーブルの一輪挿しに薔薇がいて私の居場所を奪って咲う
5
たんぽぽで花占いをするくらい気が長ければ恋も叶うよ
6
捨てるときつらくなるから花束は一番きれいな瞬間に燃す
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桜 きみ、自転車押して帰り道 喪うなんて嫌だと 桜
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「生き急ぐ花などいない」きみのその言葉が私の事件として
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イヤホンの右側貸してあげるほらきみの左で咲む花になる
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そして朝墓標を目指すいいひとはピエロのメイクに薔薇の花束