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やがて夜サーカス団の解散後ひとり花びら数えるピエロ

2
舞い落ちる花弁に気づくいのちとは終わるからこそ尊いのだと

3
壊廃ののちに見上げた花曇り部屋の隅っこの古い地球儀

4
テーブルの一輪挿しに薔薇がいて私の居場所を奪ってわら

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たんぽぽで花占いをするくらい気が長ければ恋も叶うよ

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捨てるときつらくなるから花束は一番きれいな瞬間に燃す

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桜 きみ、自転車押して帰り道 喪うなんて嫌だと 桜

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「生き急ぐ花などいない」きみのその言葉が私の事件として

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イヤホンの右側貸してあげるほらきみの左でむ花になる

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そして朝墓標を目指すいいひとはピエロのメイクに薔薇の花束