短歌 雪

1
Bメロを繰り返してる口笛が金曜の夜の雪に消される

2
「積もったね」返事をせずに訥々と雪を人さし指で追ってた

3
新雪に初めて足跡つけたからそこからここは支配空間

4
コンビニのおでんが今日は優しくて窓の外では雪降り続く

5
マグカップに注ぐ白湯も舞い踊る雪も水と思えば春はもうすぐ

6
「雪は降る」「あなたは来ない」「雪は降る」ごめん続きはよく知らないの

7
臆病になってばかりの雪の夜たまごを買って帰れなかった

8
恋人とまた呼びたくて大雪を言い訳にしてあかりを消した

9
沈黙は雪に似ている降り立って人の体温で溶けてゆくから

10
まばたきのたびに結晶がこぼれる長いまつ毛に早くふれたい