今日の短歌 ガラケー

1
新宿に向かう列車の沈黙をハイジの歌で破るガラケー

2
届かないメールをじっと読み返す誤字脱字がなくてさみしい

3
野良猫は忖度の対義語として尻尾ふりふり堂々歩く

4
猫の目を主治医に向ける診る者は見られる者と心得ておけ

5
相槌に「にゃあ」を導入してみたら「にゃん」と返され月は満ちゆく

6
知らないというまっさらな雪原に赤い便箋置いてきました

7
助手席で暮れゆく年をやりすごす置かれる場所がまだわからない

8
ありがとう その一言を伝えたら恨みつらみも置いてきましょう

9
かなしみという染みは取れにくいから人は毎日お風呂に入る

10
肩こりを勲章として頑張った一年がある花束をくれ