1
おそろいのタオルはためく昼下がりナイフ片手に影も揺れてる
2
枯れていく花束見つめ幸せを過去形にするきみの黯い目
3
優しさの意味を辞書引くことはない花のあふれる街に暮らして
4
叫べたら壊れることもなかったと軋む吊り橋の上できみは
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「生きている」わざわざ口に出す日々となって久しい春一番よ
6
めでたし、のつづきをみんな生きている罪の意識にリボンをかけて
7
「プリン」ってきっと呪文だ幸せな気持ちをいつも分け合えるから
8
秒針を目で追うとなり足温ぬくめきみを目で追う特別な夜
9
北風はFマイナーというきみの憂いを五線譜に記す夜
10
膝を折り好きなところを指折って足りなくなってプーに抱きつく