短歌 あひるの玩具/カレイドスコープ

1
叫んでも届かないから沈黙と仲良しになる あひるの玩具

2
覗き込むカレイドスコープの眩しさ失望よりもいとまが怖い

3
明日には忘れてしまう中指で押したあひるの玩具の湿度

4
もう二度と出会えない気がしても目が離せないカレイドスコープ

5
地平線ゆく渡り鳥隠す雲私の胸にあひるの玩具

6
まなざしは冷たくあってこの街でカレイドスコープ覗いて暮らす

7
涙かと思ってしまったきらめきをあひるの玩具があざ笑う

8
バルスって唱えてみても不思議だねきれいなままのカレイドスコープ

9
湯船しか世界を知らず口あけてお前が好きだあひるの玩具

10
さよならはカレイドスコープの速度で美しいまままぶたに棲まう