短歌 だめなひと

1
だめな人がこのクッションに座ったらちゃんとなれると思って買った

2
あれは星? それとも人工衛星? どちらにしても消えてゆくけど

3
絶望をする価値もないこの脚で地を踏みしめて空き缶を蹴る

4
雨じゃない降っているのはおやすみを言えない夜の思考よ止まれ

5
好きでした愛してました過去形はいつも乾いた風を吹かせる

6
もうひとつ作ってみようか宇宙をメトロノームを買ってくるから

6
星を食べ灯りを消して眠るきみ優しさだけを言葉にできず

7
オービスを睨み返した夕まぐれ誰の溜飲を下げたんだろう

8
迷惑をかけたくない と 迷惑をかけちゃダメ とは混ぜるな危険

9
ざまあみろって言いたい人がいるけれどパケットがもう底を尽く

10
多数派が常に正しくあるのなら……翌朝、布団にシワシワミッキー