短歌 忘れ物だと思うんだトラウマの隣に咲いた曼珠沙華って

1
ひぐらしを聞いていないとこぼしたら挙動を止めてきみは目を剥く

2
ミラー越しきみは都合のいい声をかき消したくて歌いはじめた

3
枯れるのもやがて地球に還るためあの向日葵を迎えに行こう

4
曼珠沙華きみには愛と執着が等価なときがわりとよくある

5
正しさに飲まれた者の振りかざすナイフに映るさかさまの月

6
忘れ物だと思うんだトラウマの隣に咲いた曼珠沙華って

7
素晴らしい経歴を持ち麗しい見た目だけれど加害者だしな

8
祈っても笑っていても黙っても無駄だったから歌うほかなく

9
雨傘を秋晴れの午後翳すきみ赦しの有無になど囚われず

10
「殴るなら殴られる覚悟はしておけ」義務教育じゃ教わらないの?