短歌 黒鍵を人差し指で撫でつけて雨が降るから十月になる

1
波音で目を覚ましたときみの朝いつの海かはきかないでおく

2
緩やかな上り坂だと気がついて同時に走りだしたあの浜

3
黒鍵を人差し指で撫でつけて雨が降るから十月になる

4
どうしても数が力と思いたい者の頬にも風は優しく

5
やらかしと傷つきそして悔し泣き全部笑顔の種子で嬉しい

6
懐かしい傷ではあるが現役で痛みを放つ 笑ってやるよ

7
古本に書き残されたなぞなぞが解けたからすぐ会いにきなさい

8
とじるなら波音のする場所がいい きみは詩を編みわたしは眠る

9
いつだって視線の先に虚無が居てたまにこちらへ手を振り返す

10
そのきのこほんとにたべてだいじょうぶ?わらってないでこたえてくれよ