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この街は猫が人より賢いと金木犀の梢のみ知る
2
虫の音にきみの口笛が重なる夜ならずっと明けなくていい
3
蹴り飛ばすためのムーブで後方の金木犀と目が合ったのに
4
そこに在る沈黙、余白、行間にむりやり意味を付与すべからず
5
重力は愛の別名 狂うにもセンスが要ると思い知るとき
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秒針を外してみても不機嫌な人は未熟なままだ お疲れ
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知らなくていいことなんて大抵は知らないほうがいいことだしな
8
手のひらに踊る錠剤から生殺与奪を取り戻したあの秋
9
「あいつらに人権があるなんてなぁ」弱った羽虫を潰してきみは
10
鳩よりも鳩の目をした人々がスマホ画面に囚われて鳩