短歌 知らなくていいことなんて大抵は知らないほうがいいことだしな

1
この街は猫が人より賢いと金木犀の梢のみ知る

2
虫の音にきみの口笛が重なる夜ならずっと明けなくていい

3
蹴り飛ばすためのムーブで後方の金木犀と目が合ったのに

4
そこに在る沈黙、余白、行間にむりやり意味を付与すべからず

5
重力は愛の別名 狂うにもセンスが要ると思い知るとき

6
秒針を外してみても不機嫌な人は未熟なままだ お疲れ

7
知らなくていいことなんて大抵は知らないほうがいいことだしな

8
手のひらに踊る錠剤から生殺与奪を取り戻したあの秋

9
「あいつらに人権があるなんてなぁ」弱った羽虫を潰してきみは

10
鳩よりも鳩の目をした人々がスマホ画面に囚われて鳩