あらすじ
精神科医の森下芳之は、ある日の夜勤明けに若き男性患者・篠崎隼人と出会う。隼人の口から繰り返し漏れる「ランパトカナル」という謎の言葉。その意味がほどかれて「彼ら」の過去が暴かれるとき、二人の間に不可思議な絆が訪れる。それを、いったい誰に咎めることができるだろう。
人が人を「救う」こととは果たしてどういうことなのか。「救い」が起こるとき、いったい誰が「救われる」のか。(命を無条件に肯定することがなぜこんなにも困難なのだろうか。)問いかけはただ虚しく、「彼」の抱く傷だけがその答えを知っている。
主な登場人物
篠崎隼人(19)
私立大学の二年生。謎の言葉「ランパトカナル」を零し、幻想と現実の狭間に苦悩する青年
森下芳之(35)
精神科医で、隼人の主治医。徐々に隼人に惹かれていく
小川朱音(19)
隼人と同じ病棟に入院する少女。被害妄想と嫉妬が強く、隼人を疎ましく思っている
菊川はるか(19)
隼人とかつて結ばれた少女