短歌 ふたり
1 溶けてゆくバニラアイスを目で追ってなんだかんだで気持ちに気づく 2 包丁を握るその手がもし私のためにあるなら怪我はしないで 3 きみの目に映るわたしはかもめの目をしてきみのことだけ見ている 4 帰り際「楽しかったね」…
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1 溶けてゆくバニラアイスを目で追ってなんだかんだで気持ちに気づく 2 包丁を握るその手がもし私のためにあるなら怪我はしないで 3 きみの目に映るわたしはかもめの目をしてきみのことだけ見ている 4 帰り際「楽しかったね」…
1 キラキラときれいごとほどよく光る死んだ魚のうろこみたいに 2 新鮮なうちに早めに召し上がれうらみつらみもねたみもすべて 3 痛覚がなくてよかったという人が舌鼓を打つあなたの残滓 4 泳がせていた筈のこいが消え去り幻を…
私ね、あっちで生まれたの。生まれただけでまだ誰も手にかけたことがないのね。だからうまく影を伸ばせないし、助けを乞われたらいくらでもいうことを聞いてしまうの。優しいねって? そんなの褒め言葉にも貶し言葉にもならないわ。 妄…
どこにもないはずの記憶がメモリーカードに保存されており私のいつかの嘆きも怠惰も独りよがりな悲喜劇もすべて残っておりました 誰からも忘れ去られた公園の錆びた遊具たちは互いにへつらうことをせず朽ちるのを黙って待ってただただ佇…
1 明け方にピンク・フロイド聴くきみを迷惑なんて思わない 好き 2 影踏みで勝ったことない紅組も白組もみな混ざりあってた 3 旅に出たモモイロペリカン捕まり居場所はここじゃないと泣いてた 4 好きな色はと聞かれてピンクだ…
1 雷鳴を受けて微笑むきみがまた万華鏡と手すさびをする夜 2 眠りより優しいものがあるとして信じないのは私の自由 3 また消して書いては消してまた書いて結局捨てたきみへの懺悔 4 みじん切りするとき添える親指の無事を願え…
1 他人事としてサイレンの声を聞くうちのスープはあったかいなあ 2 質問がないならこれで終わります(終わらせるのは何もかもです) 3 まぼろしの埋蔵金を見つけたらテレビクルーが来てくれるかな 4 闇堕ちは正規ルートの花道…
1 目くじらはどこにいるのかと問う子は大きな海しか知らないんだな 2 消したって無かったことにはできない消しゴムかすがすべて知ってる 3 へちまって役に立つからこのへちま!は確か褒め言葉だよ 4 日陰には日陰の良さがある…
1 傷つけるための強さは弱さだと教えてくれたきみも血まみれ 2 許せないことは大抵許さないことと気づけば薫風の吹く 3 葉桜が映える青空の下には忘れ去られたミサンガのくず 4 詳しくはWEBで続きはCMのあとでほんとのこ…
怒りの正当化事由よりも 大切なものがあるはずで けれどそれらしい論説に いとも容易く踊らされる 耳障りのいい言葉たちは いつも私を騙すけれども 過ちを過ちと認めるのは とてもしなやかなことと 言い聞かせているけれど 萌ゆ…