がんばれもぐら
もぐら、その姿実にもぐもぐしい 穴掘って掘って埋もれて 夕暮れいつだかわからない 漢字で書けば土竜 強そうでしょう 強そうなだけなんです もぐら、小倉 おぐら さんちの庭に穴を掘る 土かいてかいて疲れて 夜明けが何処だか…
もぐら、その姿実にもぐもぐしい 穴掘って掘って埋もれて 夕暮れいつだかわからない 漢字で書けば土竜 強そうでしょう 強そうなだけなんです もぐら、小倉 おぐら さんちの庭に穴を掘る 土かいてかいて疲れて 夜明けが何処だか…
見上げれば半月が もう半分の可能性を殺しながら ぽっかりとろりと孤独を浮かべて 見下ろせば人々が 内臓と骨と血と神経を運ぶため あうあうと喘ぎながら歩いている 位置情報をオフにして Wi-Fiから逃れて 野鳥の飛影に目を…
まるである日出会ったみたいに 甘く、甘く、溶ける、 それが木曜日でありませんようにと 目を、逸らし、叶ってしまう、 夜になりたいと泣いたあなたの 横顔こそが秋驟雨で 夜になれないあなたと あなたになれない私とが 手だけ繋…
地球儀を強く抱きしめて 失くした星だけを数えて から笑うあなたのことを 私はもう許せそうにない あなたを許せない私を あなたは許してしまう そうして無難至高にて 風を感じているフリと 生きている真似事とが 上手になってい…
柔らかな裏切りを 生唇で受け止めて 虚しくなるだけで 上等だって笑えよ 風はまた吹くだろうか 遠ざかる記憶を手繰る 獣に堕ちたあなたの眼 もう一度くださいって 失うごとに欲しがって どこにもきっかけなど 落ちていないとい…
雨の日に傘を持たない人は もれなく優しい人でしょう 降り注ぐ雫に身を預けながら 微笑みを知る強い人でしょう 雨の日に傘を持たない人は もしも誰かの物語のなかで 誰かが死んでしまったならば 祈ることができる人でしょう その…
コバルトブルーの夕暮れに凪いだ点 立ちくらみすれば許される気がして あなたもあなたもあなたも当然に点 染みといっても差し支えないだろう 真っ白なシーツを私が敷いたはずの 純然たる欠点といってもいいだろう あなたが目を閉じ…
値札さえ与えられず 都合の悪さを携えて 焼きたてのパンのことを考えている 春、魔物を産んでしまったから 古アパートでほどけた安い自我が フリースタイルで追われ果てた ずっと笑っていたのが私で そばで泣いていたのが私で 逆…
寝ぼけた顔して 幼い唇でぽろぽろと 退廃的なことを言うの 春だというのに 心臓くり抜くような 我儘ばかり振り撒くの きみは冬に眠っていたかったんだろうね 魚のような目をして 灰色の空を見ている 饐えた風の手土産を 嬉しそ…
論客R氏が腕試しに 青い瓶の中身を知りたがり 詩人D氏が立腹して それは野暮だと吐き捨てる 主宰W氏は円卓にて ほくそ笑みながら足を組む R氏が求めるのは日常からの脱出方法 D氏が詠うのは牛肉へ捧ぐ鎮魂歌 W氏はぺろりと…