今日の短歌 疑問符
1 目玉焼きなんて名前をつけるからこの箸だって凶器になるね 2 知らなくていいことばかり知りたいしゲリラ豪雨はやまなけりゃいい 3 直接の死因ばかりを知りたがるこの方々に殺された友 4 死者がみな土に還るというのなら地球…
1 目玉焼きなんて名前をつけるからこの箸だって凶器になるね 2 知らなくていいことばかり知りたいしゲリラ豪雨はやまなけりゃいい 3 直接の死因ばかりを知りたがるこの方々に殺された友 4 死者がみな土に還るというのなら地球…
1 種を吐くときの顔すら好きだからたぶん飽きてもまた風は吹く 2 蝉を見ろあいつらすぐに逝っちまう叫ばなければ生きてゆけます 3 気づいても言わないでおく傷ついたぶんだけ人が強くなること 4 この夏は地獄の蓋を開けたまま…
◈梅雨 雨のなか白い紫陽花を睨んで私の名前を呼ぶのはやめて とある日曜日、小雨のときは傘をささないきみが、ふと公園で立ち止まって「アナベル」という名前の白い紫陽花をじっと見ていた。 みるみる、きみの視線は鋭利になっていく…
1 風呂上がり米を研ぎつつ聴くラジオいつもの声に励まされてる 2 叫ぶよりもう倒れたい夜だけど深夜ラジオが笑かしてくる 3 通勤のお供はラジオ満員の京王線で笑みかみ殺す 4 三叉路を過ぎればきみがいる/いない/別の誰かと…
1 予報にはなかった雨に濡れそぼり帰る家にはきみという謎 2 今どきはわかりやすさがウケるけどきみという謎だけは解けない 3 正答のないなぞなぞを解いている気がするきみのとなりにいると 4 カーディガン脱ぐとききみが目を…
1 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 2 不器用はもはや伝統芸能かいっそ人間国宝になれ 3 一人称複数形ではや十年なんだかんだで今日も笑顔で 4 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた …
1 「うん、いいよ」そこで途切れたやりとりのとなりで揺れる曼珠沙華たち 2 若かったそれよりずっと馬鹿だった落暉を何度見逃したろう 3 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 4 「スプーンじゃないほう取って」…
1 私たち不器用だねと笑いあう月曜日って実は尊い 2 「うそつきは消えて」あなたの笑顔ごと沈めてしまうレモンスライス 3 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 4 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひと…
1 耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく 2 蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ 3 ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き 4 ただいまを二度と言えないあの家を遠く離…
1 (猫がいる)すれ違う人それぞれに悩みがあって秋へと向かう 2 新宿を好きになれたら日没が早くなるのも許せるかしら 3 夏が逝く何か言いかけやめたきみが間違いだらけのパズルを解く 4 わがままも貫いたなら道になるそこに…