短歌 共犯
1 観覧車ひりひり上がる 天国の一番近くで泣き出しそうだ 2 まだ誰も見たことがない症状を見せてあげますお部屋においで 3 セロテープを噛むと甘い 教科書に載ることだけじゃきみが見えない 4 テーブルにレモンがひとつ 爆…
1 観覧車ひりひり上がる 天国の一番近くで泣き出しそうだ 2 まだ誰も見たことがない症状を見せてあげますお部屋においで 3 セロテープを噛むと甘い 教科書に載ることだけじゃきみが見えない 4 テーブルにレモンがひとつ 爆…
1 ピアノ線よりもか細い夏でした 音階のない波を見ました 2 フロアからテナント去って白い壁 間違い探しの終わらない夏 3 犯人の名前かき消す蝉の声 悪くない人だけが泣いてる 4 PASMOには二十五円しかないから今日は…
1 薔薇の咲くような笑顔でといわれてまずはまぶたをひっくり返す 2 プチプチを潰しています 世界から緩衝地帯を奪っています 3 靴ひもを結びなおしているうちに間を詰めてくる公園の鳩 4 (ラブソング)誰のものでもないきみ…
1 ブランコを思い切り漕ぐ大人にはなりたくなかった つま先で蹴る 2 「ジュラ紀にもいじめが存在したらしい」「変わらない良さがありますねえ」 3 鉄くずが人工衛星だったころわたしもみんな大好きだった 4 雨の日の少女鏡に…
1 白壁にピンクの|花弁《かべん》春はすぐそこまで来てる(頭が痛い) 2 苛立ちは生ぬるさゆえ風さえも優しくなってしまう季節だ 3 ぎちぎちにイルミネーションを巻かれた桜が笑うまで、あと●秒 4 その地図に春は来るかい来…
1 鞭打てばいうことを聞く獣ども論理だててもむごいはむごい 2 消えかけの炎を愛でた日々があり強風の日は笑い続けた 3 のど飴を舐めているからヒトだろうそう簡単に殺してはだめ 4 幸せな日々であったとの証明 卒業式に檸檬…
1 はち切れる寸前の糸携えて一人ぼっちで微笑む真昼 2 屋根裏に取り残された人形が謙虚さを求められてぷっつん 3 サイレンが近づいてくるきみはまだ夢とうつつを彷徨っている 4 糸くずの存在価値はきみだけが傷の深さとともに…
1 揺れている洗濯物を眺めつつ「明日あしたも生きていたいね」ときみ 2 久々に結った髪の毛(少女には戻れないこと承知の上で) 3 春を待つ前髪を切る咳をする優しすぎると苦しくなるね 4 にびいろのぶらんこに乗るそびえたつ…
1 ドーナツはみんなの事実 優しくて甘くてみんな否定できない 2 まなうらにドーナツ浮かべ傷つけた人のことなど思い出してる 3 ドーナツを2つに割ろうつらさとか悲しさがそうあれますように 4 なかんずくドーナツがよい仲直…
1 「空あり」をそらありと読むきみがまた壊れかけてる土曜日の午後 2 ふうん、そう。黙りこむきみが何度も殺した虫を目で追いかける 3 もうじきに空は落ちるわその前にルーズソックス捨てておくわね 4 ピーナツの皮がするりと…