ひみつ

1 君の横空いているなら1名で今すぐ予約させてください 2 言い訳を探してるうち春が来て夏去り秋に枯れ果てるひと 3 折る指も足りなくなって心臓を差し出しました きみに逢いたい 4 髪の毛も爪も裸もき…

願いごと

1 首を吊るための道具と知っていてあなたに贈る手編みのマフラー 2 飴玉を転がす舌先を眺める 赤色3号はたぶん私 3 手を繋ぎおんなじ月を見上げても一つになれない 寒さのせいだ 4 道端に落ち葉に隠れ…

挨拶

死にたさは生きたさですと教科書に載っていたから絶対に嘘 階段が天国にまで続いててああよかったなって一歩踏み出す 目の前を通過列車が過ぎてってあたしのこころだけ轢いてった 帰り道赤信号だけを選んで歩いた…

優しさ

ふりこって誰がどうあれあるがままふれているから羨ましいな 心臓の奥の奥より奥のほう 君が粗末に捨てたまごころ 優しさは流行らないから味のないガムを選んで渋谷を歩く ふたりして爪を噛むからふたりしてひと…

放置

断言が断罪になるというのなら早く私を馬鹿と貶して この駅に快速列車が止まらないのも寂しさも私のせいだ 鈴虫に唆されて僕はいま誰も知らないソリストになる メロディを重ねるたびに嘘がほらバレていくから早く…

悲観

こめかみがなんか痛むと思ったら背後で君が微笑んでいた  低気圧のせいにしようかなにもかも しばらく歩き出せそうにない  黒猫が忌み嫌われているように私が居ると薔薇も枯れます&nbs…

妖精

番号の中に私の誕生日が隠れてるからスマホごと好き  「嫌いだ」と口に出せれば大丈夫 その素直さで生きのびてゆけ  石ころは磨けば光るわけじゃない 輝きなんてただの傷あと …

我もまた少女だったというひとの思い出に載る灰のアルバム 悲しいと爪を噛む癖を叱ってくれたあなたの影を踏んでた その人が絶対であり神であり愚者であったと気づくのが恋 大切を大切にして大切に抱えていたらグ…

解像度低めの心携えて行けるところまで行くのが恋 スコールのあとあなたが降ってきて少しもできない共感が恋  恋のせい ヘッドフォンから洩れ聞こえてきた君の声を遺書にした  手のひらに…

クレヨン

偶然だ 血が赤いのもぬるいのもなかなか止まることがないのも ブラウスのピンクのしみは確実に君に恋した盛夏の残滓 オレンジを食べた! 朝から君のこと早く壊してみたいと願う たまさかに君の生存を知ったよ …