短歌 冬
1 UFOを見かけた夜の帰りみち白い息だけ捕まえ歩く 2 人材、と呼ばれるときに血と骨でできていますと答えたくなる 3 おでんではちくわぶが好き共感は別のところでお願いします 4 こたつとは要塞である最強のかたつむりとは…
1 UFOを見かけた夜の帰りみち白い息だけ捕まえ歩く 2 人材、と呼ばれるときに血と骨でできていますと答えたくなる 3 おでんではちくわぶが好き共感は別のところでお願いします 4 こたつとは要塞である最強のかたつむりとは…
1 思ってたよりも楽しい毎日だ犯人はきみ、きみが容疑者 2 撤去されツリーはただの樹になって半額ケーキつつく納め日 3 ほのぼのと生きてゆきますこの世からポッドキャストが消えない限り 4 ぎゅっとして離れるときの一…
1 著作権切れたとたんに人々を襲いはじめたあの黒ネズミ 2 自販機の右端にいるおしるこはちゃんと私を見下している 3 好きだった好きすぎてもう苦しかった動機はそれでじゅうぶんだった 4 「『確かに』が『しかし』とセットな…
1 風呂上がり米を研ぎつつ聴くラジオいつもの声に励まされてる 2 叫ぶよりもう倒れたい夜だけど深夜ラジオが笑かしてくる 3 通勤のお供はラジオ満員の京王線で笑みかみ殺す 4 三叉路を過ぎればきみがいる/いない/別の誰かと…
1 予報にはなかった雨に濡れそぼり帰る家にはきみという謎 2 今どきはわかりやすさがウケるけどきみという謎だけは解けない 3 正答のないなぞなぞを解いている気がするきみのとなりにいると 4 カーディガン脱ぐとききみが目を…
1 十年があっという間に過ぎてって十一回目の秋桜を待つ 2 不器用はもはや伝統芸能かいっそ人間国宝になれ 3 一人称複数形ではや十年なんだかんだで今日も笑顔で 4 積読があふれる部屋の隅っこで文字に溺れるきみを見つけた …
1 「うん、いいよ」そこで途切れたやりとりのとなりで揺れる曼珠沙華たち 2 若かったそれよりずっと馬鹿だった落暉を何度見逃したろう 3 沈黙は愛のかたちと気がついて微笑み交わす秋の訪れ 4 「スプーンじゃないほう取って」…
1 耳朶に降る月の光を閉じこめたピアスはきみの声でささやく 2 蟻が征く覇道に垂れた汗ごめん悪気も意味も特にないんだ 3 ぷんすこはプリンの複数形であるってその嘘たまらなく好き 4 ただいまを二度と言えないあの家を遠く離…
1 私たち不器用だねと笑いあう月曜日って実は尊い 2 「うそつきは消えて」あなたの笑顔ごと沈めてしまうレモンスライス 3 スーパーで買ったお寿司のサーモンを狙いあってる水曜の夜 4 明大前そんなに人を詰め込んでひとつひと…
1 解のない問題文を与えられ((大丈夫))って繰り返してる 2 ようこそ に愛を感じる画面には淋しがり屋の顔が映ってる 3 今日未明檸檬爆弾未爆発無事故月曜超絶憂鬱 4 寂しさも自分の一部わかってる手紙を書くよ青いインク…